ギャンブル依存症再考のきっかけとなる「カジノ法案」

こんにちは、心理カウンセラーのaikoです。

 

先日のなる先生に引き続き、「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」(通称「カジノ法案」)の成立に向けた動きの中で、当院の心理カウンセラーの一人として意見を述べさせていただきたいと思います。

 

カジノが大阪にできるということで、大阪では特に話題になっているようです。しかし私の知り合いの大阪府民は「ラスベガスのようにそこに住む人のためではない(観光としての)娯楽なので、自分たちには関係ない」と話しており、実感がなく、またさして関心のない人も意外に多いのかもしれませんね。

 

そんな中で、今のこの記事を読んでいらっしゃる人は少なからず関心や問題意識をもっていらっしゃる方なのだと思います。

 

先のなる先生の記事にもありましたが、当院は「ギャンブル依存症研究所」を併設しており、ギャンブル依存症の方やそのご家族へのカウンセリングを精力的に行っています。

では、そもそもギャンブル依存症とはなんでしょうか。

 

ギャンブル依存症は精神疾患の一つである。ギャンブルそのものを否定するつもりはなく、自分の責任で楽しんでいる人が大多数であるのは事実だが、薬物依存と同様にギャンブルをやめると手の震えや発汗などの症状が表れ、治療が必要になる人がいる。さまざまな刑事事犯や家庭内での暴力の原因にもなり、苦しんでいる家族は多い。日本の発症率は諸外国に比べ高いとされる一方で、治療に結びつく人は極めて低い。カジノ法案が臨時国会で本格審議されるが、ギャンブル依存症対策こそ急がねばならない。(『毎日新聞』20140818日「社説:ギャンブル依存症 深刻な実態を直視せよ」)

 

当院を利用されている方たちの中で、実際に手の震えや発汗などの症状を訴える方はあまり多くはありませんが、多くの家族は苦しんでおり、また、自身がコントロールできずに悩むご本人は大変多いです。

 

周りにはそうは見えなくても、悩み苦しんでいるギャンブル依存症の方はたくさんいます。

今年7月に発覚したベネッセ・コーポレーションの個人情報流出事件でも、流出した社員はパチンコなどで借金があったことを証言しています。直接の原因ではなかったかもしれませんが、このように大変な事件の一つのきっかけともなってしまうのが「ギャンブル依存症」です。

 

しかし上述の通り、治療にはなかなか結びつきにくいのが現状であり、この病気の大きな特徴と言えます。

加えて現在はギャンブル依存症が治療できる施設が日本ではそう多くはありません。すでに他の病院などにかかっていながら、ギャンブル依存症の治療は「他の専門的なところでお願いするように」と言われて、当院に来院される方もいらっしゃるのです。

 

 

では今回、「カジノが日本にできる」ことによって、どのような影響が予想されるでしょうか。以下のような記事があります。

 

糸数慶子氏も福島みずほ氏も「カジノが出来ると依存症が増える」と主張をするわけですが、(中略)これは依存の対象物をお酒に置き換えてみると判り易いと思います。(中略)人はそこに酒があるから依存症になるのではなく、自身の生活環境や職場、もしくは過去の体験やひょっとすると遺伝子の中に(最近の研究では依存症に遺伝的要因が関与しているという研究結果もあります)、お酒に嵌ってしまう要因があるからこそ、人はアルコール依存になるのですね。(木曽崇20140812日「カジノ合法化で新たな依存は生まれない」)

 

この記事では、新しくハマるものができるから依存症が増えるのではなく、人の中に依存の種のようなものがあるがゆえに、依存に陥るのだと述べられています。それゆえに、この記事のタイトルでもあるように、「カジノ合法化で新たな依存は生まれない」と主張されているわけですね。

この主張は一理あると思います。実際に世の中の人は何にも依存せずに生きられるような、強い人たちばかりではありません。ギャンブル依存症も、そんな人間の「弱さ」によって生まれる病であると思います。

 

ですが、だからといってむやみに依存の対象となるものを放置していいわけではありません。依存は本人の責任だからといってそれらの対象を放置するのならば、違法薬物に対する法的な規制も必要がないことになりますよね。

 

カジノが大阪にできることにより、近辺に住む関西圏の人々をはじめ、観光や出張などで大阪を訪れた際に、物珍しさでカジノに赴き、その快感を忘れられずに何度も足を運ぶ人は後を絶たないのではないかと考えます。

今回のカジノ法案の成立にあたっては、日本人の利用は禁止されるという話もあるようですが、現実的には難しいのでないでしょうか。これまでギャンブル断ちをしていた人たちまでもが触発されてしまうのではないかと、心配でなりません。

 

ただ1点、メリットと思われる点もあります。

日本で多く普及しているパチンコやスロットは、レジャーとして捉えられており、「ギャンブル」としての認識がこれまでは薄いのが現状でした。そのため危険性を認識しないままに気軽に行き始めてしまい、どっぷりつかってしまう人が多かったのではないかと考えられます。気付いた頃には、もう遅いのですよね。

 

それに比べて「カジノ」は、誰の目から見ても明らかに「ギャンブル」です。今回のカジノ導入に対して日本国内で多くの議論が起こっているように、多くの人はその危険性を認識し、問題意識をもっています。

 

これまで問題意識の薄かった「ギャンブル」について、遅れながらも今回ようやく議論が活性化し、人々の関心を寄せているのは、「ギャンブル依存症」への認知や危険性の周知に大いに役立つのではないでしょうか。またこうした議論を受け、政府もギャンブル依存症に本格的に取り組む姿勢を見せているようです。

 

なにより人々の認識が薄く、自覚ももちにくい「ギャンブル依存症」に対し、今後問題意識が高まり、学校教育に組み込まれたり、治療機関が増えるなど、問題の予防や克服へ向けた動きが活性化されることを望んでやみません。

 

 

 

引用記事URL:mainichi.jp/opinion/news/20140818k0000m070118000c.html(毎日新聞)

bylines.news.yahoo.co.jp/takashikiso/20140819-00038388/(Yahoo!ニュース)

 

 

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